12月に入ってオフシーズントレーニングが始まって2日後、トレーナーである山田さんにこう告げられました。
「僕の予想では北山くんが技術的に伸びるのはあと1年(来年まで)が限界です。神経系の成熟の関係で、成長が遅い選手は成長が止まるのも遅いんですけど、北山くんは早いタイプの人間なので成長止まるのも早いです。それで僕の予想では来年で成長が止まると思っています。なので、それも踏まえて現実的な目標設定をしてください。」
急な余命宣告のようにも聞こえました。
正直ずっと技術もフィジカルも積み上げていって4,5年後にグランドスラムの予選,そして本戦に出場するイメージを持っていたからです。
山田さんには
「どうグランドスラム本戦に行くか現実的な道のりも踏まえて次のトレーニングまでに教えてください」
と言われましたが、結論を出すまでに時間はかかりませんでした。
全豪オープン,全仏オープン,ウィンブルドン,全米オープンの中で全豪オープンには「Asia Pacific Wildcard Play-off」というWC大会があります。
通常グランドスラム大会は誰も怪我による欠場者がいない場合、
世界ランキングを104位まで上げて本戦にそのまま出場するか、世界ランキングを223位まで上げて予選を勝ち上がって本戦に進むかの2通りの道のりです。
ただ全豪オープンだけアジア圏が国籍の選手に向けて"この大会の優勝者には全豪オープンの本戦出場権をあげますよ"というWC大会が開催されるんです。
出場選手16人のうちの1人なのでグランドスラム予選よりも勝ち上がるのは難しくなりますが、
WC大会に出場できるランキングは全豪オープン予選に比べたら低いです。
もし僕が現実的にグランドスラム本戦に出場するとしたら、
・来年1年間は技術練習中心のスケジュールを組み、技術をひたすら積み上げる
・来年の秋頃にITF大会に挑戦して世界ランキングを獲得する
・再来年以降は日本と海外(セルビア)に拠点を置いて、フィジカルを積み上げたり海外選手と練習する機会を設けながら、世界ランキングを400〜600位を目標に上げていく
・Asia Pacific Wildcard Play-offに合わせて調整
エントリーしてドローリストに入れば本戦出場をかけて戦う
元々グランドスラム本戦への道のりは言葉にできないくらい厳しい認識でしたけど、
今の自分が現状としっかり向き合った上で考えた道のりも、さらに20倍くらい難易度が膨れ上がった感覚です。
でも可能性は0ではない。
そうである限りは僕はこの挑戦に対して「もう無理。やめた!」とは言わないです。
山田さんに言われたことはもう2つあります。
1つは
「北山くんの体を壊しながらパワーアップさせていきますけど、ちゃんと回復するかどうかは分からないです。アスリートとして必要な体になるために僕の中では"年齢的にギリギリアウト"だと思っていて、もし回復せずに壊れてしまったら、もう引退です。あるいは変化しないです。それくらいリスクのある挑戦であることは頭に入れてください。」
そしてもう1つ
「今受けているストレスも膨大だとは思いますけど、来年はその5倍以上はストレス受けます。トレーニングや練習ではもちろんのこと、試合結果や周囲の声、スポンサー、将来的にはマネージャーなどプレッシャーになる要素が一気に増えます。北山くんは発散が得意な人間ではない上に繊細で溜め込みやすいです。精神的な支えが必要になると思うので、とりあえず"彼女"作ってください。」
※決してネタっぽいことを書きたいわけではなく、真剣な話です
余命宣告の次はロシアンルーレット。
つまり、今クラウドファンディングで支援を募集していますが、
「僕のこの挑戦は一か八かです。その一か八かに懸けて支援してください!」
って言ってます。
「は?博打に投資できるわけないじゃん!」
おそらく今これを読んでいる方のほとんどがそう感じると思います。
もしかしたら何千円をドブに捨てることになるかもしれない。1万円を支援して手に入れたラケットがただの一般テニス選手のお古になるかもしれない。
(だとしたら、メルカリでもっと良い状態のものが手に入ると思います)
大丈夫です。
むしろそう考えるのが一般的で、一方的に善意を施してしんどい思いをする辛さも僕は知っています。
だからこそ今この内容を全て知ってもらった上で、
僕のクラウドファンディングに支援するか?しないか?
北山智也を応援するか?しないか?
みなさんの意思で決めて欲しいと思っています。
彼女を作ることに関しては、自分のペースで密かに頑張ります。
これらの通り、来年からは僕はテニスにより集中しなければいけない状況です。
そのため
「グランドスラム本戦を目指すだけじゃなく、日本テニス界を良くしていきたい」
とSNS等で明言したり地道に活動してはいましたが、
それらも"北山智也がグランドスラム本戦出場するのにつながること"以外は活動しなくなります。
もちろん個人イベントや今参加しているCoral テニス・スカッシュ・ラケットボール専門店の練習会、ぺんてぃラケットラボのぺんTC...
全てグランドスラム本戦に繋がらない以上は参加したり開催したりしないと思います。
優しいだけが取り柄たったのに、急にクズ人間みたいになってごめんなさい。
そしてもう一つ。
僕は30歳の年で「グランドスラム本戦出場を目指す挑戦」は達成していなくても終わりにします。
おそらく精神的にも肉体的にも、7年間が僕の頑張れる限界だと思うからです。
それ以降はもしかしたら中途半端になってた「日本テニス界を良くしていく活動」をするかもしれないですし、日本の国内大会に"底上げ役"として出場し続けるかもしれないですし、
あるいはきっぱりテニスを辞めるかもしれないです。
これをここに書く前に数人の人に話したら
「今それを決めなくてもいいんじゃない?」
「もしかしたらそのときになれば、状況が変わって続けたくなると思うし」
とも言われましたが、自分の中でこうして決めちゃった方が頑張れそうな気がするので。
僕自身の現状はこの記事に包み隠さず全て書きました。
もちろん僕の目標に対する実現性の低さに呆れる人、僕から離れていく人はいると思います。
でも重要な情報をうやむやにしたり捏造してクラウドファンディングを成功させる以上に大事なことがあると思ってます。
(もしクラウドファンディングに失敗したら、時間は本当に限られますがスポンサー獲得のため企業をプレゼンしにまわります)
今まで応援してきてくれた人が離れていったり、会ったこともない人にあんなことこんなこと言われたり、僕の知らないところでも言われたり、
理不尽なことだらけです。
無傷じゃないです。心にめちゃくちゃ応えてます。
それでも自分の目標のために。僕の全てを理解した上で応援し続けてくれる人達のために。
自分の活動によって現在そして未来で勇気づけられる人達のために。
どんな瞬間も状況からも逃げずに向き合って、最後まで頑張り続けたいと思います。